【2013年度講演会を開催しました(2013年6月15日)】

過去に行われたセミナー・交流会のご案内です。

【2013年度講演会を開催しました(2013年6月15日)】

2013年度経営学部校友会総会を開催

2013年6月15日「立命館大学経営学部校友会第9回総会」を、からすま京都ホテルにて開催し、58名(委任状含む)が出席されました。
奥田経営学部校友会長が開会の挨拶を行い、来賓の池田経営学部長の挨拶では、2012年度に行われた「経営学部創設50周年・経営学部校友会創立10周年記念事業」が、多くの卒業生の参加で成功したことに対して謝辞が述べられました。
続いて、「2012年度事業報告および2012年度収支決算報告」「2013年度事業計画および2013年度予算案」などすべての議案が承認されました。また、卒業後の校友間のネットワーク形成への取り組みを推進することを目的としています「ゼミ同窓会開催援助制度」についても、年々開催援助申請の件数が増えていることも報告されました。
2013年度経営学振興事業セミナーについての開催計画も承認されました。

≪2013年度セミナー開催計画≫
【第1回セミナー 9月1日(日)】
大阪:ホテルグランヴィア大阪
【第2回セミナー 11月3日(日)】
京都:京都ガーデンパレス
【第3回セミナー 2014年2月23日(日)】
東京:東京ガーデンパレス

「日本料理の姿かたち」
経営学部校友会総会に続いて、記念講演が行われました。
講演会は京料理「木乃婦」3代目若主人高橋拓児氏による『日本料理の姿かたち』と題するお話しでした。81名の参加があり、大変興味深いお話しで、高橋氏には続く懇親会でもお付き合いいただき、大変盛り上がりました。以下、当日のお話しを要約してご紹介いたします。
高橋氏ご自身が行かれた世界各地での料理を、スライド写真を駆使されての話でしたので、文章に表すことは、非常に難しいです。どこまで当日の様子が伝えられたか自信がありません。

日本料理とは 日本料理は人によって違う。確かに、「京料理」の看板を出している店はあちこちにある。ときに、日本料理といってもフィリピン人が作っていることもある。日本料理を定義付けて、和食を世界遺産登録する予定である。ユネスコに無形文化遺産登録をしようとしているところだ。
 和食とは、①多様な食材を新鮮なまま使用している、②コメ中心とした栄養バランスの良い食事である、③自然の美しさ、季節の移ろいを表現している、④年中行事と密接に関連している、などなど。演繹法で和食を海外で説明できるか、疑問である。そこで帰納法で考えてみたい。
 帰納法では、「日本料理」は、日本料理でない料理以外の料理である、ということになる。日本料理以外と比較して日本料理の独自性を見出そうという考え方である。そこから日本料理の独自性が見えるのではないかと思った。

世界の食文化と比較して考える
そこで世界の食文化を知ることで日本料理の理解が深まると考え、海外に足繁く通った。標準的な世界地図では日本は極東であり、エスニックである。日本料理も世界に伝搬しているが。
このように、世界各国の料理から日本の料理を見直した。

フランス料理
優れた食文化をかつては持っていなかったから、16世紀イタリア・フィレンツェから持ち帰りこれを発展させたのである。さらに、スペインなどの影響を受け、自国の料理として確立したのである。うさぎ、牛肉など、肉中心の食文化だから、シェフが自分の目で判断して買ってくる。
 ポール・ボギーズさんは、ヌーベル・クィジン(新しいフランス料理)を開発し、彼は1970年以後それまで重かった料理を軽くした。新しいフランス料理を開発したが、これは日本の懐石料理から学んだ。その軽さを学んだ。それまでの3000キロカロリーから2400にした。これに対して日本料理は1000~1200キロカロリー。最近のフランスでは、フォアグラでもフレッシュで塩で楽しむ、という傾向が出てきたし、鳩をピンク色で、火入れの技術向上が起こっている。
フランスではワインのほうが水より衛生的なのでよく飲まれるが、酸味・渋みが多いため、油脂分を楽しむ方向へと料理が発展してきたと思われる。

スペイン料理
スペイン料理と言えばタパス。蓋をするという意味。パンをおいて食べる食文化が発展している。ガスパチョもある。パエーリアは油の強い炊き込みご飯というイメージだ。イベリコ豚にドングリを食べさせる。そうすると特有の香りが出る。これがハムになり、熟成させられる。イノシン酸が豊富に含まれる。ハムはカビをつけて風味豊かに熟成させるものだ。日本で言えば鰹節にあたる。鰹節はカビが食べる水分がなくなるほどになっている。
調理と科学者をひっつける行動が最近出てきている。ほうれん草を遠心分離器にかけるなど。ジャガイモ、椎茸の粉末で、土壌を表現するなどなど。
地場の料理と美味学という新たな食文化も出てきている。スペインでも面白い体験をした。オリーブ・オイルとニンニク風味が多い。他方フランス料理はそれほどニンニクを使わない。

中国
上海では、小籠包(しょうろんぽう)、上海がに、中国ちまき(炊いたちまき)、マクドナルドではアップルパイが緑豆パイになる。日本の精進料理もこういったところから来ているのではないか。
香港には、すべての中国の食文化が集結している。野菜もそろっている。またいろんな肉が食されている。当然フカヒレもある。椎茸、なまこもある。中国料理は煮込み、炒める、そして油とともに味を閉じこめる。
杭州では、蓮の葉で鶏肉を包む蒸し料理などが有名で、レンコンに餅米詰めなど精進料理があり、日本料理にあるようなのがある。シャコ炒め、車エビなどもあり、日本料理との共通点がある。
博物館へいくと季節を花と結びつけているのがわかる。日本の季節とお花を結び付けて考える文化、そこに食が結びついている。中国のそういった考え方が日本に移ってきたのが分かる。宋の時代に、お茶、茶筅が既にあった。お抹茶茶碗も中国に存在していた。これを日本に取り入れて日本にあうように茶道の形に持ってきた。明の時代に抹茶は禁止された。生産性が上がらないためだ。そこで中国では抹茶から煎茶へと変わった。
日本料理は、ほとんど中国料理で、これを日本の風土にあわせて変化させたのではないか。

タイ
魚醤で料理する。ナンプラーという。タイは湿度が高くて気温が高いので発汗が悪い。強制的発汗のため辛い香辛料を使う。衛生的な調理環境にないので、火を入れる料理が多い。薩摩揚げもある。

モスクワ
最近では野菜が豊富で、果物も豊富。7年前と比べると格段の差。キノコも輸入されている。食生活が豊かになっているのが解る。いまや「いけす」もある。貝類も生で扱っている。地元レストランでも発見があった。羊肉のスープも出汁が濁らない。それは水の硬度が高いから。ボルシチもビーツの味が違う。非常に美味しい。水餃子のようなものもあった。中国との共通項がある。
また、ロシアでも温かい料理を出すサービス、ロシア式サービスがあるが、フランス人がロシアへ行って開発したコース仕立てだといわれている。ハプスブルグ家がロシア式サービスを広げたといわれている。

カリフォルニア
食と健康が結びついている。ローファット、オーガニックと言われている。アメリカ人が日本食は健康で体によいと言い出した。世界にこれが伝搬した。
カリフォルニアでは自然のものが多く出されている。近くの海でとれる牡蠣、自分ところのハーブ、自分のところで育てている山羊のアイスクリームなどなど。ですが、ハンバーガーが美味しかった。

シドニー・オーストラリア
日本と気候が似ている。ただし、歴史が浅い。イギリス食文化の影響を受けている。海の近くでは、シーフードが多く、種類も多い。野菜もいろんな種類があって、日本と似ている。
オージー・ビーフでは、優れた生産者も多数でている。美味しい赤身のうまみの肉もできあがっている。フランスで修行した料理人シェフがやっている。日本人シェフのレストランもある。オーストラリアはシーフードも多いが、オーストラリア料理は確立していない。

ブラジル
串刺し肉を焼いて食べる。こちらがストップの意思表示をしないと、止めるまで出る。魚は充実していない。荒々しい魚、いかつい顔の魚がある。野菜は日系ブラジル人が日本の野菜を育てている。果物は豊富で、日本より多品種である。また、カシューからカシューナッツがとれる。ブラジルではジュースをよく飲むが、それは日差しが強いためである。キャンデーもよく食べている。料理もきつい蒸留酒が一番合う。唐辛子の種類も多数ある。これを料理と合わせる。
 ご飯のお焦げの甘いもがあり、カルパッチョなどもある。いろんな料理が入っている。ポルトガル、スペインの影響をうけている。ジャガイモ料理も多い。高級料理店のシェフもフランスで修行している。いかなる国でもフランスの影響が非常に大きい。

スリランカ
コロンボのマーケットへ行くと、異臭が立ちこめているシーフードマーケット。あまりなので港まで行って食材を求めた。野菜もスポンジのような茄子を苦労して料理した。
 絶景を眺めながら料理を食べた。カレーである。スパイスも豊富。日本人は何でもカレーと言っているだけで実は違う。米も違う。いまは減ったけれども、本来は手食である。ぱらぱらのインディカ米を手でつぶしながらソースと合わせ味を調整して食べるものである。風土と食が結びついている。

日本料理の特性を深く知る
日本は6853の島々からなっているが、本州、北海道、九州、四国の4島で95%を占め、70%が森林であり、しかも、日本は海洋国家である。日本の気候も特異である。四季があり、二十四節季、七十二候に分かれている。日本は広く、いろんな温度帯がある。
 水は軟水と硬水がある。水は食に影響している。軟水が緑色のお茶をもたらす。海流もあり、魚や野菜に対して、海の影響が大きい。土壌は褐色森林土53%、黒ぼく土17%、赤土13%などとなっているが、このような土地の影響も受けて作物がまんべんなく育てられる。
 宗教とお米も関連している。神道と結びついて、日本の民族性を成立させた。御神饌という。仏教も影響している。禅であるとか、精進料理が影響している。食べられるものを限定することによって精神性を身につけるというのが精進料理の本来の考え方である。私たちは命を奪いながら食事をしている。生きているものへの感謝、憐れみが精進料理の精神である。
 大事な食材としては、昆布がある。これは日本独特である。昆布も産地によって仕分けて使う。利尻昆布は一番いいだしをひく。羅臼昆布は煮炊きものに使い、日高昆布は鮎を巻いたりするのに使う。

 鰹節の製造工程は、ハムと似ている。うまみ効果が大きい。昆布は2年、鰹節は最低半年で出来上がる。
 野菜は、155種類もの野菜がある。茄子を一種類とみてそうだ。四季それぞれの野菜がある。これを育ててきた。
 日本の魚介類も面白い。温度によって違う。場所で異なる。これが多様性を生み出す。春の魚、夏の魚、秋の魚、冬の魚、おいしい魚が食べられる。四季折々違った料理を供している。日本料理は「出汁(だし)」を中心とした文化で、固まらず、魚の脂肪酸は溶解温度が低いから常温で食べられる。

日本料理の特性を深く知る
日本料理は、他の国の食文化を融合し独自の料理として再構築してきた。
もともとは何もなかった。独自の米の品質と調理法を持つ。食と宗教と政治の基盤を歴史的に積み上げてきた。料理の温度差が世界一大きい。エンターテインメント性よりも、「もてなす」ことを優先する。海産物と農作物と水、自然に大きく支えられた食文化である。お箸とお椀の文化。だしによるうまみと大豆由来の発酵食品の文化である。
まだまだ発展の余地がある。そして、私が総合的に「日本料理の姿かたち」をまとめると、「日本料理は、外国の文化を取り入れやすく、かつ、独自の美意識を持つ食文化に変容できる構造になっている」といえる。

《編集後記》
大変興味深いお話しで、かつ、スライドもいろんな料理などが映し出されたが、文章では、これが示せないのが惜しまれます。質疑応答も活発で、ラーメンは日本料理かという質問に対し、むしろだしのとり方は西洋料理のとり方で、日本人がいろんな料理法を取り込んできた経験が生み出したものだというお答えで、納得させられました。とにかく、興味深いお話しでした(松村)

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